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Abacca Anjain-Maddison

Senator, Republic of the Marshall Islands/2Rongelap Atoll
第46回日本母親大会・分科会
国際シンポジウム
「核兵器も外国基地もない21世紀へ―女性はアジア・太平洋から平和を発信する」

Abacca Anjain-Maddison

Abacca Anjain-Maddison


マーシャルでは「女性亜空を全部支える」と言われています。さらに「女性が温かみをもつ存在」である、「女性が平和を持ってくる(平和の象徴である)」、「すべての人は母親からすべてを学ぶ」、「女性が実家から婚家に幸せを運ぶ」、そして「すべての成功を女性が支えている」と考えられています。

私は昨年11月の選挙で、これら5つのことを訴えて、33人の国会議員のうち唯一の女性になりました。これは大変に素晴らしいことでありますし、また同時にマーシャルの代表として、母親の代表としてこの母親大会に参加できますことを大変うれしく思います。

核実験のために失ったもの

ロンゲラップ島とアイリング島は、ビキニ島の核実験場からいちばん近い、人々が住む島です。アメリカは1946年から57年の間、100回近くの核実験をマーシャルで行ってきました。しかしその中で、私たちの生活をまったく根本から変えてしまったのは、「ブラボー」と呼ばれる核爆弾でした。核実感の爆心地となったマーシャル諸島の人々、そしてマーシャルのすべての人々は放射能にさらされました。被ばくしたマーシャルの人々のうち、もっともひどい被害を受けたのがロンゲラップ環礁の人々です。また第5福竜丸の船員たちも同じような被害を受けました。1954年3月1日を、私たちは「2つの太陽が見えた日」として思い出しています。

実験の後、空気、風、そして海も放射能でいっぱいになり、さらにロンゲラップへと流れていきました。ロンゲラップの島民はその結果、放射能を含む”死の灰”を体に受けました。その灰が、髪や肌に塗っていたココナツオイルにつき、人々のやけどを一層ひどくしました、子どもたちは、白い”死の灰”をかぶったものを食べ、放射能に汚染された水を2日以上も飲み続けていました。

ロンゲラップの汚染はかなりひどくて、現在でも人が住むことはできません。ロンゲラップの人々に「自分たちの島に戻るな」と言うことがどういうことかおわかりになるでしょうか。それはつまり、自分たちの生まれ育った環境やその自然から切り離されることであり、文化、そしてマーシャル人であるというアイデンティティーがなくなってしまうということです。今も島民のすべての世代が、その故郷の島とは違う場所で生まれ育っています。ロンゲラップの自然の中で生きていくという生活の方法を、その知識を失ってしまいました。

米軍基地の問題は日本と同じ

沖縄の人々と同じように、マーシャル諸島の人々もアメリカ軍基地の問題に直面しています、軍事基地のあるすべての場所の人々にとって、害はあってもよいことなど何一つありません。母親は特に子ども、娘のことが心配になります。多くの若者は基地からのドラッグやアルコール、そして性的暴力の危険にさらされています。基地内での少女への性的暴力は増加傾向にあります。

このように自分たちの友だち、家族、そしてまわりの人々にふりかかってくる不幸を許すことはできないと思います。日本の女性とマーシャルの女性は、いろいろ同じような経験をし、同じような問題に直面しています。私はみなさんと本当に近い関係にあり、同じ被害を受けていると感じます。

 日本母親大会2000-1

日本母親大会2000-1

今年の3月、この日本で、ビキニでの核実験にかかわる、水爆と原爆の被害者の集会があり、私は自分の夢を発表しました。その夢についてお話しします。

私は今年、25年ぶりにロンゲラップに行きました。この美しい島に戻ることができてうれしかったのですが、同時に大変悲しくなりました。美しい海岸があるのにそれを楽しむ人が誰もいません。子どもたちの遊ぶ姿も、動物を追いかけて走る姿もありません。風景はなにも変わっていないのに、だれもいないのです。

そのとき私は、ひとつの夢を描きました。それは、博物館を造ることです。ロンゲラップに犠牲者たちの痛み、苦しみを形にとどめ、そこで何が起こったかを人々に見せると同時に、交流の場となることが大切です。2004年、ビキニに水爆が落とされてから50年を記念する年に、ぜひつくりたいと思います。

みなさんひとりひとりは、私の体に比べれば小さいですけれども、たいへん素晴らしい方たちであることがわかりました。いっしょに行動を起こしましょう。21世紀を行動の世紀にしましょう。