For a Peaceful, Just, and Sustainable World Free of Nuclear Weapons, Military Bases and War Womens Peace Fund Contributes to Developing Cooperation and Solidarity between Women of Japan and Women All around the World
Former U.S. Army Colonel and diplomat who resigned
in opposition to Iraq War
Japan Mothers’ Congress
第55回日本母親大会の国際シンポジウムで発言する機会を得たこと、そして核兵器と核技術の不拡散と廃絶を実現し、破壊的な軍事同盟をなくして平和で公正な世界をつくるために、母親大会に参加されているみなさんとともに活動することを、私は誇りに思います。
はじめに、核兵器廃絶と破壊的な軍事同盟の廃棄をもとめることとまったく縁のなさそうな、私の経歴についてお話します。
私は米陸軍に29年在籍した退役軍人です。退役したときは、米陸軍予備軍の大佐でした。私はアメリカ合衆国の外交官でもあり、ニカラグア、グラナダ、ソマリア、ウズベキスタン、キルギスタン、シエラ・レオネ、ミクロネシア、モンゴルで任務につきました。私は2001年12月、アフガニスタンのカブールにアメリカの大使館を再開した小部隊の一員として、約5ヶ月間アフガニスタンに駐留しました。
2003年3月、私の人生は激変しますが、それは私がブッシュ政権の決定に反対して辞任した時のことです。その決定は、アメリカを攻撃したこともなければ、また国連安全保障理事会によれば国際的安全保障への脅威でもなかった、石油の豊富なアラブのイスラム教徒の国を攻撃するというものでした。
6年前の辞任以降、私は「コード・ピンク=ウィメン・フォー・ピース」、「平和を求める帰還兵の会」、「ピース・アクション」、「全米平和正義連合」、「戦争に反対する帰還兵の会」など、アメリカの多くの平和団体の活動に合流し、ともに声をあげてきました。私は、陸軍将校であり外交官としての経歴を使って、戦争と平和の問題について頻繁に執筆しています。私は、私たちの社会、特に政府の事業のなかでの反対意見の役割に関する本を、共同執筆しました。“Dissent: Voices of Conscience” (邦題は「異議あり!戦争に黙っていてはいけない」)と題したその本は、アメリカ政府の中から、政府の権力乱用、戦争、拷問、市民的自由の侵害などに反対の声をあげている、私たち女性の物語です。
私はまた、アメリカの軍の内部と、日本はじめ他の国々における性的暴行やレイプについても発言や執筆をしています。日本などでは、いまだにこのような犯罪行為が起っているのです。こうした犯罪を根絶するために、ただちに上級指揮官の態度を改めさせなければなりません。
平和活動家として、私はキューバ、イラン、ヨルダン、シリアなどの国々を訪れました。昨年は日本で開かれた9条世界会議で発言する機会に恵まれ、10日間ほど滞在し、北海道や沖縄などいくつかの地域を訪れました。今年、私はガザに3回行き、パレスチナ住民に対するイスラエルの過剰な武力行使や、いのちと財産の凄まじい破壊について報告してきました。
こうした経歴により私は、オバマ大統領に対する私自身の意見やアメリカ国内の一般的な感情、アメリカの政治に起きている積極的な変化に対する私の展望、そしてこの世界をより安全で平和にするためにアメリカが果たすことのできる、また果たすべき役割などについて、発言をもとめられてきました。
オバマ大統領の選挙運動はしませんでしたが、私はもちろん、彼が大統領に選出されたことを嬉しく思います。アメリカ合衆国政府の執行機関から共和党指導部を追い出すことは、私の国と世界の安全および安全保障にとって決定的に重要だったと、思っています。
アメリカの平和運動にかかわる人々は、オバマ氏の大統領選出に安堵しましたが、私たちは、彼のイニシアチブの一部は歓迎するものの、それ以外には失望、憤慨しています。
世界をより安全にするうえでの積極的な面として、2009年4月1日、アメリカのオバマ大統領とロシアのドミトリ・メドベージェフ大統領が、戦略兵器削減条約にかわって法的拘束力を持つ新たな条約を結び、両国の核兵器を削減するという計画に合意しました。
世界をより安全にするためのオバマ政権のもうひとつの積極的努力は、NPT(核不拡散条約)の枠組みを強化することです。4月5日、プラハでの演説の中で、オバマ大統領は、核兵器と核によるテロの脅威により効果的に対処するために、NPTの枠組みを強化するよう国際社会に呼びかけました。ブッシュ政権とは対照的に、オバマ大統領は、自らの政権がNPT条約に積極的に関与すると明言しました。そして、核兵器を保有する国々は軍縮をめざすこと、保有しない国々は持とうとしないこと、すべての国々が平和的な核エネルギーの利用の権利を有することを信じると述べました。オバマ大統領は、2010年のNPT再検討会議の成功を決意しています。当事者すべてが合意に到達することの困難を認めつつも、オバマ大統領は「私たちは、私たちのちがいによってではなく、すすんで対話を追求する姿勢と、NPTが国際平和と安全保障に引き続き貢献できるようにするための努力によって、私たち自身の立場を明らかにするべきである」と述べています。
しかし、オバマ政権はあまり建設的でない決定もしています。残念ながら、驚くほど多くの問題についてブッシュ政権を継承することを選択しているのです。
オバマ政権は、イラクからの米軍撤退についてブッシュ政権が作成したスケジュールにしたがっています。アメリカの平和運動は6年間、イラクからのアメリカ軍即時撤退を要求し続けてきました。オバマ氏の選出は、私たちがブッシュのスケジュールの実行を喜んで待つということを意味するものではありません。私たちは、2年後ではなく、6カ月以内に米軍が出て行くように、撤退を早めることを望んでいます。
イラクに関連する問題で、オバマ政権は、ブッシュ政権と同様に、アメリカの民間請負業者18万人のうち何人が引き続きイラクに駐在するのか、明確に回答していません。その多くは、相当な武器と射撃能力を持つ民間警備会社の傭兵です。
オバマ大統領は、アフガニスタンの米軍を劇的に増強しました。最初の2万人の増派により、激しい作戦が展開され、数多くの民間人が殺害されました。罪のない一般市民の死者の数があまりにも大きくなったため、アフガニスタンの米軍司令官は、軍は民間人を殺すのではなく保護するためにあらゆる手立てを尽くさなければならないとの、新しい指令を出さざるを得ませんでした。どうやらオバマ政権は、アフガニスタンへの米軍のさらなる増派とともに、アフガニスタンにもっと軍事力と資金を提供するようNATO加盟国をしめあげているようです。
パキスタンの部族地域へのアメリカの無人機による攻撃が大幅に増え、パキスタンの主権と安全を損なっています。
何千人ものアフガニスタン人が、アフガニスタンのバグラム軍事基地で拘留されていますが、オバマ政権は、ブッシュ政権の言い分のとおり、拘留者に権利はないと主張しています。また、裁判もなく8年間もグアンタナモに収監されている一部の拘禁者は、国内法および国際法の違反で拘留されているのであり、今後も裁判にかけられることはないかもしれないと主張しています。これも、ブッシュ政権の言い分と同じです。
オバマ政権は、拷問に責任を負う者について、調査と責任追及をしないことを選択しました。平和運動をおおいに失望させているのは、オバマ政権もまた、過去の責任を問うのではなく、今後のことに責任を負うというのをモットーとしていることです。
悲しいことに、アメリカは新しいオバマ政権のもとであっても、これまでどおり他の国々に政治的、経済的変化をもたらすために、外交的手段ではなく、攻撃的な軍事手段を使う国なのです。
攻撃的な軍事作戦、拷問、私自身の国における市民的自由の抑圧の理論的根拠として「国家安全保障」ということばが使われます。これは、ある国の軍事力の行使に、道徳的、倫理的、法的な障壁が存在しない時、その国が滑り落ちるであろう「滑りやすい坂」を、はっきりと示しています。
私が言うのは辛いことですが、過去8年間の私の国の行動は、さまざまなレベルにおいて、日本の人々への警告になるべきです。それは、みなさんが憲法9条を通じて手にしている独特の保護を持ち続けるために警戒せよとの警告です。私は、ブッシュ政権が日本政府に対し、憲法9条をかえるようにと、とても強い圧力を加えたことを知っています。
侵略的で攻撃的なブッシュ政権の行動は、世界平和への脅威でした。憲法9条は、アメリカのさまざまな軍事行動への日本の支援を否定することにより、アメリカの軍事拡張主義にたいする抑制として、それなりに機能しています。
私は、憲法9条は日本の武器輸出を禁止しているとする、日本国民の解釈を称えます。私の国は、世界最大の武器輸出国のひとつであり、それにより多くの国々に政情不安をもたらしています。アメリカは、クラスター爆弾、白色リン弾や劣化ウラン弾の使用を続けています。私たちは、これらの兵器が今年、イスラエル軍の22日間に及ぶガザ攻撃で使用され、1440人を殺し、5000人を負傷させ、5万人の住居を奪ったのを目の当りにしました。
輸出品のなかに武器が含まれているのはもとより、今や私の国は、国家の軍隊に匹敵するほどの武器を持つ民間警備会社まで輸出しています。
私はまた、日本が核兵器の保有、生産、領土内への持ち込みを禁止し、非核地域を世界に広げ、核兵器の違法化をもとめる非核三原則を公約していることを称えます。
私たちは、私の国の並外れた金融・経済利益集団が武器や戦争で利益を得て、平和ではなく戦争状態を支援している今、平和でもうけることができるようにする方法を見つけることも、必要です。
私たち世界の人民は、日本が戦争放棄の憲法9条の精神を堅持し、世界を平和に向かって導き続けてくれることを望んでいます!
ありがとうございました。平和を!