For a Peaceful, Just, and Sustainable World Free of Nuclear Weapons, Military Bases and War Womens Peace Fund Contributes to Developing Cooperation and Solidarity between Women of Japan and Women All around the World
参与連帯 平和軍縮センター主任
核兵器なくそう女性のつどい2012
はじめに ジョン・オノ・レノンの歌に、「平和にチャンスを」というのがあります。私は「朝鮮半島と東アジアに平和の機会を」と言いたいとおもいます。
2012年7月27日、朝鮮戦争の停戦協定が結ばれてから59年が経ちました。来年は60周年です。60という数字は、アジアの文化では重要な意味をもっています。停戦協定が結ばれて以来、朝鮮半島と近隣諸国をめぐって軍事的緊張と紛争が増大してきました。南北朝鮮は平和と協力ではなく、対立と緊張に向って突き進んでいます。いま一度、朝鮮半島は、軍事優先主義と冷戦の舞台になっています。東アジアは、歴史と領土紛争についての対立も抱えています。加えて、福島原発の核災害は、東アジアは激しい核軍拡競争を抱えるだけでなく、原発が乱立している地域だという事実を私たちに警告しています。
朝鮮半島と東アジアで、平和的に共存し共同で繁栄することは不可能なのでしょうか。新自由主義と軍事優先主義のもとでは不可能に思えます。でも、平和と協力にチャンスを与えてみようではありませんか。
朝鮮半島での停戦体制ができてから59年経ちました。これによって、北朝鮮の人々だけでなく、韓国の人々も苦しみ、犠牲を払ってきました。南北で違いはありますが、寛容のないイデオロギーと軍事優先主義が双方の社会と文化を支配してきました。民主的なプロセスはまだ十分確立していません。こうした状況が、分断と軍事的対立の状況下で正当化されてきました。
朝鮮半島の緊張は、東アジアでの軍事紛争と対立をあおっています。例えば、哨戒艦「天安」沈没事件や2010年のヨンピョン島砲撃戦などは、南北朝鮮の軍事的対立を深めただけでなく、東アジア全域の軍事化を強めました。冷戦が終結したにもかかわらず、朝鮮半島の停戦体制はいっそう不安定になっています。冷戦の終結は、不安定な均衡の終結を意味しましたが、朝鮮半島には、これに代わる平和体制はできませんでした。しかも、北朝鮮は国際社会からの孤立と不安定な政権という状況のもと核兵器を開発したのです。
李明博(イ・ミョンバク)政権は、南北朝鮮が合意した6月15日の宣言と10月4日の宣言を無視しました。そして、不測の事態が起こる可能性に注目し、北朝鮮に対して厳しい態度をとりました。しかし、このような強圧的な封じ込め政策は、北朝鮮に対する軍事化の口実を与え、逆に朝鮮半島は不安定になったのです。南北朝鮮間の対立と軍事緊張は深まり、社会経済協力の機会は失われました。
「2013年に朝鮮戦争を終わらせよう」という運動は、韓国の平和活動家たちと一部の政治家たちが始めました。2012年7月26日、490人の著名な人々が「停戦協定59周年にあたっての7・27平和宣言―平和、2012年の選択」を発表しました。私たちはまた、2013年を平和への転換点にするため、全世界の平和活動家に対して、私たちとの連帯に立ち上がってくれるよう呼びかけます。
2009年以来、六ヵ国協議は行われていません。最近、「核保有国」という言葉が北朝鮮の憲法に加えられました。このことは、北朝鮮はこれまでも核を放棄しようと思ったことはなく、将来もその意思もないのではないかという疑問を抱かせます。しかし、成り行きを見守るという戦略はうまくいきません。北朝鮮の核問題を解決するために北朝鮮を交渉に引き入れるには、新しいアプローチが必要です。
2007年2月13日、六ヵ国協議は「直接当事者が、別の適切な場で、朝鮮半島における永続的な平和体制を交渉する」ことに合意しました。六ヵ国協議再開に加え、平和体制を真剣に検討することは、現状打破にとって重要です。しかし李明博政権は平和体制に一度も言及したことはありません。その代わりに、韓国とアメリカは核の傘政策を強化し、核ミサイルの脅威に対抗する拡大抑止政策委員会を確立しました。
核抑止論政策は、別の核の脅威を生むだけで、核の脅威をなくすことにはなりません。韓国、アメリカ、日本をはじめとする隣国も北朝鮮も、核抑止力政策を放棄しようとしていません。特に、アメリカはいまだに「先制不使用」施策も消極的安全保障政策も拒否しています。アメリカはまた文書で韓国に核の傘の提供を約束しました。北朝鮮の核の脅威をなくす努力に加えて、北東アジアにおけるあらゆる核の脅威を取り除く努力が求められています。
提案されているアプローチは、非核の北東アジアです。すなわち、北朝鮮、韓国、日本が核兵器保有を放棄し、アメリカ、中国、ロシアがこれらの国々に消極的安全保障の確約と先制不使用政策を提供するということです。これは、北朝鮮に核開発を放棄させ、北東アジアをいかなる核の脅威からも解放するための、実現可能なアプローチです。韓国、日本、アメリカは、疑念や恐怖を克服して平和の先制措置をとるうえで、よりよい状況にあります。なぜなら彼らの通常軍事力がはるかにまさっているからです。
さらに、福島の核災害は、原子力発電所の危険という、もうひとつの核の脅威を明らかにしました。原発が持つ潜在的な危険性やコストを認識することが重要です。韓国では、福島の大惨事の後、人々の原発に対する態度が変わってきています。特に、ゴリ原発が停止した時、何日間も国民に知らされなかったことで、人々は原発の危険性が目の前にあるということに驚愕しました。2012年、核セキュリティサミットがソウルで開かれました。参与連帯など市民社会は「核の安全ではなく核のない世界について話会合おう」と呼びかけていたのですが、会議では核分裂性物質の安全を議論するばかりで、「核のない世界」にも原発の危険性にもふれず、批判を浴びました。
アメリカは「アジア太平洋回帰」戦略を提唱しています。前進配備された米海軍部隊とこの地域での軍事協力の強化を見れば、この戦略の意味するところが見えてきます。アメリカは、「日米韓3か国間の安全保障協力は向上し続ける」とか、「発展しつつあるアメリカ、日本、オーストラリアの3国間、およびアメリカ、日本、インドの3国間関係」を強調しています。
2012年6月14日の第2回米韓外務防衛閣僚級会議で、両国は「ミサイルの脅威に対し包括的3軍合同防衛を強化する」こと、「米韓日3ヵ国安全保障の重要性を確認」すること、「米韓日3ヵ国協力の範囲を拡大し人道支援や災害救援、航海の自由、大量破壊兵器の不拡散を含める」ことに合意しました。
これを受けて、李明博政権は、アメリカとの海上軍事同盟に積極的に参加し、米日との3ヵ国軍事協力を推進しています。さらに、李政権は日本政府との間で軍事情報包括保護協定(GSMIA)や物品役務相互提供協定(ACSA)を秘密裏に進めていました。
歴史的遺産を清算することなしに、日本との軍事協力が北朝鮮のミサイル脅威、大量破壊兵器、海上安全、有事などの理由で正当化されてきました。しかし、日韓の軍事協力の本当の目的は米韓ミサイル防衛システムと日米ミサイル防衛システムとを組み合わせ、3ヵ国協力を三カ国軍事同盟に統合することではないかという疑いが濃厚です。
さらに、日米韓3ヵ国は2日間の合同海軍演習を2012年6月21、22日に朝鮮半島南方の海で実施しました。これは3ヵ国が初めて行った合同軍事演習でした。アメリカの報道によれば、この演習の目的は「韓国海軍と日本の海上自衛隊の相互運用性とコミュニケーションを向上させ、それによって将来、日韓が協力した災害救援や海上安全活動をやりやすくするためのことです。このような3ヵ国軍事演習が近い将来、朝鮮半島周辺で繰り返し実施されることになり、日本の戦艦が参加することになるかもしれません。
3ヵ国軍事演習のために、5年以上の強い反対運動にもかかわらず、済州島に海軍基地建設が進められているのです。日本の自衛隊やアメリカの戦艦が済州島海軍基地に停泊することは決してないと保証できる人は誰もいません。上記の出来事を組み合わせて考えると、この海軍基地は、沖縄やグアムとともに中国封じ込めのための日米韓海上協力のための前哨基地になると考えられます。
東アジアの海は、協力と繁栄の舞台となるか、それとも軍事化と新たな冷戦の舞台となるかの岐路にあります。私たちの答えはあきらかです。国際市民社会と各国政府は、海洋の軍事化を阻止し、根強い紛争を平和裏に解決することを強く求められています。済州島が海軍基地化するのを食い止め、平和の島にすることは、東アジアを平和の海に変えるために不可欠です。